経営理念 その2

みなさん、こんにちは。ひまわり税理士法人の蓮原亮です。
前回の私のコラムで予告した通り、今回は経営理念の意味や難しさを考えます。

「ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説」によると、経営理念とは「企業の個々の活動方針のもととなる基本的な考え方。」とあります。これだとかなり漠然としていますが、その企業は何をしようとしているのか、何のために作られたのか、なぜ存在しているのか、を示すものと理解しています。

「自分は何のために生まれてきたのだろう?」と考えたことはありませんか?

人間の場合、この問いへの答えを得るのはなかなか難しいことですが、企業は意図的に目的を持って生み出されたものなので、どの企業でも(明文化されているか否かを問わず)経営理念というのは必ずあります。
ただ、おかれた環境や社会情勢によって、何のために存在しているのかが変わる可能性は大いにあります。変化の頻度が多く変化の速度が速い昨今では、経営理念をかなり具体的に記述すると、経営理念を頻繁に変える必要に迫られることになります。そこで、多くの企業では本質を見極めてその本質のみを理念とすることで、頻繁に変える必要がないようにしています。

経営理念は、「当社はこのために存在しているよ」という、メッセージ性の強いものです。この強烈なメッセージを頻繁に変えると、外部者からは「何のために存在しているかがコロコロ変わるのでは、信用して取引できないよ」、社員からは「言うことがコロコロ変わるのでは、ずっとこの会社に勤めるのがしんどいな」と思われてしまいかねません。そのため、およそ変わりそうにない本質を突き詰めた企業の存在理由を「経営理念」とするのです。

実際、経営理念を作ろうと思うと、難しい。「当社はなぜ存在しているのだろう」ということを突き詰め、さらにどういう言葉でどう表現するかに頭を悩ませます。本質まで突き詰めるには、「なぜ?」を何度も繰り返すことで行います。「なぜ?」を繰り返していくと、堂々巡りになる瞬間が来ます。その堂々巡りになったものが、本質です。とてもツラく、くじけそうになる作業です。

この困難を乗り越えて経営理念を作った後は、それを社内外に示すことになります。その中でも社内への展開・浸透については、理念を作るよりもさらに難しい。突き詰めて本質までたどり着いた経営理念は、言葉が抽象的なのです。抽象的なものを、狙い通りにしっかり社内へ展開・浸透させなければなりません。そうしなければ、社員がこの経営理念に沿って動いてくれないからです。

私独自の理論で、何かを社内に浸透させるためには3つの壁があると整理しています。

次回は、この3つの壁についてもう少し掘り下げます。

ひまわり税理士法人
蓮原 亮

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